前置き
大人になったクリストファーロビンとのお話。
大人になってしまい、現実に揉まれながら日々を過ごすクリストファーロビン。
子供の頃のことなんてすっかり忘れてしまったロビン。
ありふれたストーリーなのかな、と思いながらも見始めたものなら…最後まで釘付けになること間違いなしな作品でした。
キャラクターの魅力
ストーリー自体はよくある話なのに、なぜか胸に突き刺さってくる。
全てのキャラクターが知名度抜群なのもあるだろうけど、本当に魅力的でした。
ちゃんと個々の性格が際立っていて、起こる出来事に対して「別にそのキャラじゃなくても良かったんじゃ?」的な疑問が一切浮かばず。
全てがこの物語には必要で全てが噛み合っている、すごく良く作り込まれた作品でした。
癒される
昔から知っている癒しキャラ、プーさん。その見た目に癒されるのは当然なのですが、実写版ということでおそらくCGのプーさんはぎこちなかったりするのではないかと心配だったのですが、全くの杞憂でした。
ぬいぐるみがリアルにそのまま動いている様で、違和感なく見れる。ぬいぐるみが動くのをリアルというのもおかしい話ですが。
更に声も良かった。私がみたのは吹き替え版ですが、プーさんの優しげな声がまず安心する。
ただ物語の進行と共に、大人になったクリストファーロビンとの掛け合いではその喋りにイライラしてしまうという事態に。おそらくクリストファーロビンに感情移入してしまい、そう感じてしまったんだと思います。でもやっぱり話が進むと、プーさんの話し方に癒され安心する。それはクリストファーロビンの心情とも連動している様で、とても貴重な体験でした。
クリストファーロビンに同調する
これは抑圧された大人が見るべきな作品。
やはり大人になると、子供の頃とは違うし、子供のままではいられません。
子供自体のクリストファーとプーさんの物語も序盤にしっかりめにあるので、大人になったクリストファーとの対比がはっきりしています。
「自分もこんなに変わってしまったのかな」なんて思わず子供時代の自分を思い出そうとしたりしました。
大人になってからのクリストファーロビンは、もうまさに「自分」として見れます。だって私自身、子供時代にプーさんのパズルをしたり絵を描いたりしたものですから、ある意味プーさんは久しぶりに会ったお友達である訳です。
プーさんの一言に泣く
一緒に見ていた子供には全く理解出来なかった様なのですが、私はプーさんのあるセリフでポロポロ泣いてしまいました。
それは、大人になったクリストファーロビンがプーさんに対して「どうして(自分がクリストファーロビンだと)わかったんだい?」という問いかけに対して、プーさんは
「ちっとも変わってないもの」
と言ったのでした。
よくわからないけどここで号泣。
だって、見た目も変わってる、性格も変わってる、そんな状態なのに「ちっとも変わってない」んですよ。プーさんにとっては、すっかり変わってしまったクリストファーロビンもかつてのクリストファーロビンと一緒に見えている、おんなじだと認識している訳です。
こんな嬉しい事があるでしょうか。
大人になって色々なものを無くして汚れてしまった気がしている自分としては、あの頃の純粋な自分と同じと言ってくれるなんて嬉しすぎます。実際、口だけじゃなく大人になったクリストファーロビンを見つけ出したんですからね、プーさんは。
まるで自分がいわれたつもりで胸が暖かくなってしまい、泣いてしまったんだと思います。
スピード感が面白い
じっくりめのストーリーかと思いきや、スピード感がすごいです。
子供時代から大人になって、それからのハプニングがポンポンテンポよく起きては進みます。
場を変え人を変え、色んな事が起きては切り替わり、でも最終的にはそれぞれの出来事が上手く絡んで終着駅に辿り着くといった感じ。
予想出来るタイプのストーリーなのに、「そう表現するんだ」「そうまとめるか」といった意外性もあって、とても面白いストーリーでした。